コンクリート構造物防蝕
コンクリート構造物の防蝕を目的としてガラス繊維の優れた耐久性を、
高流動無収縮充填材と組み合わせ、安全に安価で増強する画期的工法です。
GFプロテクトの特徴
- 型枠不要
高耐食性のFRP-セラミック複合板(GMP板)を、アンカーボルト締めでセットした後グラウト材充填によってコンクリートを一体化させる為、従来の型枠は不要です。 - 施工性
重機等は不要で、軽量のため作業性が良い、GMP板の重量は13kg/m2と軽く取扱いが簡単なため取付けも容易です。また、寸法はフレキシブルに現地で製作できます。 - 工期短縮
従来の型枠不要のため、製作取付け及び取り外し等、工程省略ができ、プレハブ工法で工期短縮となります。 - 耐凍結溶融
GFプロテクト工法は水の浸透及び反応がないので驅体の凍結融解、変質はありません。
施工例
工事概要
GFプロテクト工法
構造物鉄筋防蝕工法で、劣化を受けたコンクリート構造物の寿命延長の為、埋込型枠を用いた断面復旧による構造物の維持を目的とした環境にやさしい、補修工法。
表面FRP板貼付け工法
GFプロテクトの簡略で、特殊FRP板を直付けし、GFプロテクトに近い効果をもたらすもの。
表面処理工法
対象部分全面のコンクリート表面に、亜硝酸リチウム水溶液を塗りつけ、鉄筋に浸透させ、長期に亘っての防錆効果をもたらす工法。
GFプロテクト複合
例として、上図工法の、
・GFプロテクト工法 20%
・表面FRP板貼付工法 20%
・表面塗布工法 60%
の組合わせたもの。
塩害対策鉄筋防錆工法実海域実験工事 概要
平成20年10月 ダイキ工業株式会社
1.場所:佐賀県唐津港(東港地区)埠頭用地(-0.9m)岸壁No.12桟橋一部
2.工事期間:平成15年7月1日~8月31日(62日間)
3.工法協同開発グループ
九州工業大学/ダイキ工業株式会社/エス・エルテック株式会社/新日鐵高炉セメント株式会社
<アドバイザー>ニッテツ八幡エンジニアリング株式会社/三菱化学エンジニアリング株式会社/太平工業株式会社/株式会社ユニペック/日産化学工業株式会社/株式会社環境開発
4.実海域実験目的
「塩害対策鉄筋防錆工法」
中性化又は塩害を受けたコンクリート構造物の寿命延長の為、亜硝酸塩を用いた鉄筋防食と、埋込型枠を用いた断面復旧による構造物の維持を目的とした、環境に優しい補修、補強工法の開発を目指したものです。
本実験では、実現場で損傷を受けたコンクリートの鉄筋防食、断面復旧、表面保護を行い、 寿命延長、維持工法の効果の確認を行い、塩害を受けたコンクリート構造物の補修工法としての 適応の実用化を目指したものです。
5.実験場所
(図-1 周辺配置図)
6.追跡調査計画及び期間
施工実験を施す桟橋を目視にて調査します。調査は平成16年9月から開始し、春季調査と秋季調査の年2回を基本としますが、必要に応じて追加調査を行います。
平成15年から平成18年まで年2回実施します。
事後調査 | 調査時期 | 事後調査 | 調査時期 | ||||||||||
春季調査 | 平成17年 春季 | 秋季調査 | 平成16年 9月 | ||||||||||
平成18年 春季 | 平成17年 9月 | ||||||||||||
秋季調査 | 平成15年 9月 | 平成18年 9月 | |||||||||||
撤去解体調査 | 平成20年 10月 |
7.埋込型枠で補修した梁の曲げ載荷試験
九州工業大学建設社会工学科 名誉教授 出光 隆
結果:埋込型枠(CaseDとE)で補修した梁は補修効果が期待できる。
8.打ち継ぎモルタル種類による鉄筋腐食状況の相違
●モルタル供試体の形状
●試験結果
結果:亜硝酸イオン(NO2)が塩化物モルタルへ浸透し、拡散し、鉄筋の腐食を抑制している。
≪亜硝酸リチウムの拡散≫
呈色液塗布:茶褐色の部分が亜硝酸イオンの拡散域
9、実験場所の現状
スラブの劣化
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スラブの劣化
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梁の劣化
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当該施設の劣化原因調査
圧縮強さ、塩害、中性化、ひび割れに関する調査を実施しました。この結果、圧縮 強さ、中性化は問題なく、当該施設の劣化の主因は、一部アルカリ骨材反応も確認されましたが、大半は「塩害」によるものと推定しました。具体的には、当該施設の塩分量は、スラブ面で10~15(Kg/m3)、梁面で6~11(kg/m3)確認され、土木学会の鉄筋発錆算定限界値1.2(kg/m3)と、大幅に超える値でした。
塩分による鉄筋の錆により、かぶり コンクリート70mmが脱落して欠損 | アルカリ骨材反応による骨材の亀裂 |
アルカリ骨材反応による 黒色環(リム)の発生
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10.コンクリート構造物調査に対するまとめ
(1)劣化度の判定
コンクリート構造物外観上の症状
①鉄筋腐食による幅0.5mm以上のひび割れや、かぶり部分の浮き、剥落などが著しく且つ、鉄筋露出がスラブ部中心に多数みられる。②コンクリートの圧縮強度は、現状で問題なく健全である。
③中性化については、進行が見られない。ごく一部に5cm程度の中性化が確認されたが、これは代表サンプルにならない。
④鉄筋の腐食は、スラブ下筋で著しく、D13の断面積が40~100%の範囲で減少している。腐食グレードはVを超えている。一方、梁部はかぶり部の剥落までのダメージに到達していない。ハンマーで叩いてみても金属音の響きを確認できる。
⑤コアーサンプルの一部に骨材のアルカリ骨材反応が確認できた、水分、酸素の供給が続くと今後共この反応は継続すると思われる。特に、コンクリート表面部より雨水等の侵入が考えられるスラブ部については、鉄筋の腐食と併せて早急に対応が必要である。
(2)補修工法の選定
①スラブ下面の補修工法手順 埋込型枠加工取付(GMP板=7mm) グラウト充填 厚み70mm(エスエルグラウト :亜硝酸リチウム添加 対セメント量の3%) |
GFプロテクト工法 (断面修復工法) 鉄筋防錆 補強効果 アルカリ骨材反応抑制 |
②梁の補修工法手順 塩分対策モルタル 厚み5mm (スラグリード#25:亜硝酸リチウム添加対セメント量の10%FRPシートの真張り) |
FRP貼付工法(表面処理工法) 鉄筋防錆 |
11.実海域実験施工
(1)FRP貼付工法(多少露筋している箇所)
下地処理
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梁部塩分対策モルタル塗布
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FRPシート直貼り
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(2)埋込型枠工法(大きく露筋している箇所)
鉄筋新設
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埋込型枠加工取付(GMP板=7mm)
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端部アングル取付
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グラウト充填(t=70mm)
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梁部FRP板貼付後
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天井部GFプロテクト施工後
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12.施工5年後解体調査
資料
パンフレット
GFプロテクト工法
技術資料